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2011年度(平成23年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター

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Academic year: 2018

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全文

(1)

集 成 材

ツキ板 無 垢 材

製 材 乾 燥

スライス フリッチ

大径クヌギ材の利用 技術の開発

兵頭敬一郎

*

河津渉

**

古曳博也

**

豆田俊治

**

大野善隆

** *

製品開発支援担当・

**

農林水産研究指導センター林業研究部

Res ear c h

and

devel opm

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of

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Pr oduc t Dev el opment Gr oup, **

Oi t a Pr ef ec t ur al Agr i c ul t ur e,F or es t r y and F i s her i es Res aer c hCent er

For es t r y Res eac hDi vi s i on

日田地区の家具業界で多用している外国産材は輸入制限の強化などで高騰する傾向にあり,入手困難になることも想定

される.業界では椎茸のほだ木として造林されたクヌギ材が大径化して蓄積量が増えていることに着目して家具用材として使

用できないか検討したいと考えた.そこで公設試農工連携推進事業により当センターと農林水産研究指導センター林業研究

部が連携し平成21∼23 年の 3 ヵ年の計画で,クヌギ家具の可能性を見極めるため,製材から乾燥,加工,製品化の一連の 試験研究を行った.

1.

目的

本県では脚物家具といわれるテーブルや椅子などを作

る家具産業が日田市を中心に発展してきた.戦後に産地

を形成し,高度経済成長の中で大きく伸びてきた.発展

の初期の段階の原材料は地場の木材が中心であったが,

外材が安く安定的に入るようになってからは大きく外材

に依存するようになり,今では使用木材の約80%が外材

である.しかし,近年,この外材も原産国の輸出制限に

より,安定的な供給が今後も続くとは考えられない状況

となってきた.

そのような背景から,業界では県産木材活用の検討を

進めていきたいと考えた.そこで,「大径クヌギ材」に

的を絞り,どのように材を加工すれば家具用材として使

えるかを研究した.

2.

研究内容

クヌギ材は,強度的特性に優れているものの,非常に

重たく割れや変形が生じやすい材料である.そのため利

用する場合は「無垢材」の他に,小割り材を幅矧ぎした

「集成材」やスライス材による「ツキ板」の使用が有効

である(Fi g. 1).今年度は家具に使用するうえで課題の

残っていた3項目について試験を行った.

まず最初の課題は乾燥である.厚板材の乾燥について

割れや変形の少ない乾燥条件を選ぶことを目標とした.

Fi g. 1 家具用部材の種類

Tabl e1 人工乾燥スケジュール

(上段:中温乾燥 60℃, 下段:中温乾燥 75℃) (日)

1 12 0 ∼ 12 0. 5 50 45

2 12 12 ∼ 24 1. 0 55 40

3 12 24 ∼ 36 1. 5 60 40

4 288 36 ∼ 324 13. 5 60 35

5 12 324 ∼ 336 14. 0 45 40 (hr )

ス テ ッ プ

時間 (hr )

累計時間

乾球温度 (℃)

湿球温度 (℃)

(日)

1 12 0 ∼ 12 0. 5 50 45

2 12 12 ∼ 24 1. 0 60 45

3 12 24 ∼ 36 1. 5 70 50

4 12 36 ∼ 48 2. 0 75 50

5 276 48 ∼ 324 13. 5 75 45

6 12 324 ∼ 336 14. 0 70 50 (hr )

ス テ ッ プ

時間 (hr )

累計時間

乾球温度 (℃)

湿球温度 (℃)

13

(2)

次の課題は接着である.集成材や部材接合に用いる接

着剤の耐久性を評価するために,3つの環境(乾燥環境,

気乾環境,湿潤環境)下において接着試験を実施した.

3点目の課題はツキ板である.ツキ板の耐久性を評価す

るために,3つの環境(乾燥環境,気乾環境,湿潤環境)

下において剥がれや反りの程度を確認した.

2. 1 厚板材の乾燥試験

胸高直径30∼34c mのクヌギ原木を2mの長さに玉切りし

た.材は髄を避けて片方に樹皮を付けた状態で幅を約5∼

12c m,厚さ50mm及び60mmに製材した.桟積みにした後,

材の上部に載荷して室内で76日間天然乾燥(7∼10月),

その後14日間人工乾燥した.人工乾燥のスケジュールは

中温乾燥60℃または75℃の2条件とした(Tabl e 1).さ

らに載荷を除去した後約1カ月室内にて養生させた.

養生後に材の割れの確認,長さ方向の反り(矢高)を

測定した.

2. 2 接着剤の耐久性試験

乾燥材に存在している割れや節,反り等の欠点を除去

して,幅25mm,厚さ15mmの寸法に切削して小割り材に加

工した.3種の接着剤(Tabl e 2)を用いて小割り材2枚を

貼り合わせた.供試した接着剤は2種が集成材用接着剤,

1種が部材接合用接着剤である.3つの環境(乾燥環境,

気乾環境,湿潤環境)下にて試料を調整した後,集成材

の日本農林規格のうち「構造用集成材のブロックせん断

試験」に準拠し接着試験を行った.なお環境操作条件は,

乾燥環境:60℃熱風 10 日間

気乾環境:20℃65% 4 日間

湿潤環境:60℃90% 10 日間

である.

2. 3 ツキ板(スライス材)の耐久性試験

胸高直径34∼42cmのクヌギ原木を用いて,厚さ0. 5mmの

板目取りにスライスし,4mm厚の繊維板(MDF) に貼ってツ

キ板を加工した.裏面にはステ貼りとして0. 2mm厚のタモ

を接着した.幅20㎝× 長さ20㎝のサイズに切断した後,

クヌギ突板の表面にウレタン塗装を施した.

3つの環境(乾燥環境,気乾環境,湿潤環境)下にて試

料を調整した後,目視にてツキ板の浮きや剥がれの有無,

幅方向の反り(矢高)を測定した.比較対照としてナラ

のツキ板(厚さ0. 2mm板目取り)も供試した.なお環境操

作条件は,

乾燥環境:60℃熱風 10 日間

気乾環境:室内 20 日間

湿潤環境:40℃90% 10 日間

である.

2. 4 家具試作

クヌギツキ板の利用について,3Dシミュレーション

による確認後,曲面貼り製品の家具試作を日田市の家具

業者に委託した.

3.

研究結果及び考察

3. 1 厚板材の乾燥について

クヌギ材の初期含水率は約 60%であった.76日間の天

然乾燥で約 20%となり,さらに 14 日間人工乾燥すること

によって中温乾燥 60℃で約 7%,中温乾燥 75℃で約 5%

まで低下した.養生後の材の状態を Fi g. 2 及び Fi g. 3に

示す.Fi g. 2 は板厚 50mmの試料で,左半分 10 本が中温乾

燥60℃,右半分10本が中温乾燥 75℃を,またFi g. 3は

板厚60mmの試料で,左半分10 本が中温乾燥 60℃,右半

分 10 本が中温乾燥 75℃を表している.養生後の含水率は,

板厚50mm及び60mmともに12%以下であることから,家

具用材として適当な乾燥であるといえる.材の状態は,

板厚50mm及び60mmともに中温乾燥75℃の場合は内部割

れの発生した材が見受けられたのに対し,中温乾燥 60℃

の場合は内部割れの発生がみられなかった.このことか

ら乾燥温度は高めの 75℃よりも低めの60℃に設定した方

Tabl e 2 供試した接着剤

番号 主成分 摘要

① 水性- 高分子イソシアネート 集成材

② 水性- 高分子イソシアネート 集成材・高密度用

③ 酢酸ビニルエマルジョン 部材接合

Fi g. 2 養生後の材の状況(板厚 50mm)

Fi g. 3 養生後の材の状況(板厚 60mm)

乾燥温度60℃ 乾燥温度75℃

養生後 含水率 1 1 .2 %

養生後 含水率 9 .1 % 割れ

乾燥温度75℃

乾燥温度60℃

養生後 含水率 1 2 .2 %

養生後 含水率 9 .5 %

割れ

割れ

割れ

割れ 割れ

14

(3)

が有効であると判断できた.

Fi g. 4 に長さ方向の反り(矢高)の状況を示す.材厚

50mm及び 60mmともに乾燥時に載荷した方が,反りの抑制

に効果のある結果が示された.材長 2mに対して平均矢高

が 4. 5∼5. 1mm程度と低く抑えられた.

3. 2 接着剤の耐久性について

集成材や部材接合に用いる接着剤について,3 つの環境

(乾燥環境,気乾環境,湿潤環境)下における接着試験

の結果を Fi g. 5 に示す.接着強さは,乾燥環境>気乾環

境>湿潤環境の関係を示した.参考値として図中に赤線

で日本農林規格の構造用集成材の基準値 9. 6N/ mm 2

を記載

したが,どの環境下においても基準値以上の値を示した.

以上のことから,今回供試した 3 種の接着剤(集成材

用接着剤 2種,部材接合用接着剤 1種)は,クヌギを接

着するそれぞれの用途において使用可能な接着剤である

と判断できた.

3. 3 ツキ板(スライス材)の耐久性

クヌギ及びナラのツキ板について,3 つの環境(乾燥環

境,気乾環境,湿潤環境)下において実施した耐久性試

験の結果を Fi g. 6 に示す.どの環境下においてもすべて

のツキ板に浮きや剥がれ等の異常はみられなかった.幅

方向の反りについては,気乾環境ではクヌギ及びナラの

ツキ板ともに極端な反りは無く,平均矢高はクヌギツキ

板で 0. 95mm,ナラツキ板で 0. 25mm程度であった.乾燥環

境及び湿潤環境では,ナラツキ板は反りの程度が少なか

った一方で,クヌギツキ板は乾燥環境では凹型に,湿潤

環境では凸型に大きく反る傾向を示した.

クヌギツキ板で大きな反りが生じた原因として,表面

がクヌギ 0. 5mm 厚のスライス材に対し裏面(ステ貼り)

が 0. 2mm 厚のタモスライスであったことが考えられる.

厚さの異なるスライス材で構成されたことにより表裏間

で膨潤収縮に差が生じたためと思われる.表裏ともにク

ヌギ 0. 5mm 厚のスライス材で構成されたツキ板を供試し,

反りの軽減が図られるか確認したい.

3. 4 家具試作について

クヌギツキ板曲面貼り製品として「卓袱台」,「サイ

ドテーブル」を3Dシミュレーションによる仕上がりイ

メージを確認後試作した(Fi g. 7,Fi g. 8 及び Fi g. 9).

「サイドテーブル」は縁部に曲率半径 25mmの曲面貼り加

工を行ったが,当初計画していた 0. 5mm 厚のツキ板は厚

くて貼れず,0. 2mm厚のツキ板を貼った. Fi g. 4 長さ方向の反り(矢高)

Fi g. 5 接着剤の耐久性試験の結果

Fi g. 6 ツキ板の耐久性試験の結果 1 0 .0

7 .0

4 .5 5 .1

0 5 1 0 1 5 2 0 2 5 3 0

5c m 6cm 5c m 6cm

載荷なし 載荷有り

(

m

m

0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0

① ② ③ ① ② ③ ① ② ③

N

/

m

m

2

)

接 着剤の種類

気 乾

環境下

湿 潤

環境下

①水性-高分子 ②水性 - 高分子 ③酢ビ

1 9 .4 % 1 1 .1 %

乾 燥

環境下

平衡含水率

1 .9 %

構造用集成材の

基準値(JAS)

-

8

-

6

-

4

-

2

0

2

4

6

8

乾燥環境

気乾環境

湿潤環境

m

m

クヌ

ステ貼り

クヌ

ステ貼り

ナラ

ステ貼り

平衡含水率

1 .3 % 9 .2 % 1 8 .0 %

Fi g. 7 ツキ板曲面貼り製品3Dシミュレーション

15

(4)

これまでの家具試作を通じて,大径クヌギ材は「無垢

材」,「集成材」,「ツキ板平面貼り」,「ツキ板曲面

貼り」にして利用できることを実証した.

4.

まとめ

大径クヌギ材を家具に使用するうえで課題の残ってい

た 3 項目(乾燥,接着,ツキ板)について試験を行った.

その結果以下の結論を得た.

( 1) 厚板材(60mm厚)の乾燥について,

・心去り製材をする

・乾燥は天然乾燥と人工乾燥を組み合わせる

・乾燥時には載荷する

・天然乾燥は 2 カ月程度とする

・人工乾燥は中温乾燥 60℃で 14 日程度のスケジュールと

する

・養生は載荷を除去した後約 1 カ月程度とる

( 2) 集成材及び部材接合用の接着剤の耐久性について,

・供試した 3種の接着剤(集成材用接着剤 2種,部材接

合用接着剤 1 種)は,3 つの環境(乾燥環境,気乾環境,

湿潤環境)下において基準値以上の接着強さを示した.

( 3) ツキ板(スライス材)の耐久性について,

・3 つの環境(乾燥環境,気乾環境,湿潤環境)下におい

てツキ板に浮きや剥がれ等の異常は見受けられなかった.

・気乾環境では極端な反りは無かったが,乾燥環境では

凹型に,湿潤環境では凸型に大きく反る傾向を示した.

( 4) 家具試作について

・曲率半径 25mmの曲面貼り加工では,0. 5mm厚のツキ板

は貼れなかったが,0. 2mm厚のツキ板は貼ることができた.

家具用部材としてクヌギ材を利用するには,まだまだ

克服しなければならない課題は残るが,3 カ年の研究を通

して利用できる目途はたった.

「おおいた独自の産品(もの)づくり」の実現に向け,

今後も家具生産業界に対して技術支援を継続する予定で

ある.

謝辞

クヌギ家具の試作にあたり,株式会社朝日木工,青栁

インテリア株式会社の皆様に御協力,御助言を頂きまし

た.ここに深く謝意を表します. Fi g. 8 ツキ板曲面貼り製品(卓袱台)

Fi g. 9 ツキ板曲面貼り製品(サイドテーブル)

16

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